就農1年目のキュウリ栽培が終了したので、収量や環境データの概要を記載していきたいと思います!
栽培期間は11月3日(定植)~6月2日(最終出荷)であり、掲載データは全て10[a]当たりの数値になります。
本記事では栽培期間を通しての概要を記載していきますので、1ヶ月毎や項目毎の詳細は下記からご覧ください。
栽培分析
収量
本作のキュウリ栽培は下記のような本数で行い、初収穫は12月3日、力枝の収穫は12月23日から始まりました。
- 株数: 約950株
- 株間: 50[cm]
- 力枝数: 5本
そして、本作の収量はこのようになりました!
収量 | 日平均収量 | |||
当園 | 地域平均 | 当園 | 地域平均 | |
12月 | 1,862.1 [kg] | 2,408.2 [kg] | 60.1 [kg] | 77.7 [kg] |
1月 | 4,582.3 [kg] | 2,495.6 [kg] | 147.8 [kg] | 80.5 [kg] |
2月 | 4,233.9 [kg] | 2,242.1 [kg] | 151.2 [kg] | 80.1 [kg] |
3月 | 5,303.8 [kg] | 2,909.5 [kg] | 171.1 [kg] | 93.9 [kg] |
4月 | 4,834.9 [kg] | 2,768.8 [kg] | 161.2 [kg] | 92.3 [kg] |
5月 | 3,931.2 [kg] | 1,936.8 [kg] | 126.8 [kg] | 62.5 [kg] |
通算 | 24,748.3 [kg] | 14,761.0 [kg] | 136.4 [kg] | 81.1 [kg] |
12月は力枝の収穫が始まるまで収量が上がりませんでしたが、厳寒期(1月、2月)の収量は伸ばせました。
しかし、4月・5月は収量が伸び悩み、特に5月は4,000 [kg]に届きませんでした。
通算収量は地域平均と比較した場合、167.7 [%]と大きく地域平均を上回ることができ、収量だけを見れば良い作だったと思います。
温度
本作は下記の機器を用いてハウス内温度のデータ収集を行いました。
- 日射比例式潅水コントローラ 潅水NAVI(株式会社ニッポー)
- 乾湿球湿度センサー用 木製センサボックス(株式会社ニッポー)
基本的には日中28~29[℃]、前夜温(18時~22時)16[℃]、後夜温(22時~4時)11[℃]を目安にハウス内を管理していました。
※早朝加温等の細かい設定は別記事参照。
その結果が下の表になります!
月 | 月平均温度 | 日中平均温度 | 夜間平均温度 | DIF |
11月(11/5~) | 18.2 [℃] | 23.6 [℃] | 14.1 [℃] | 9.5 [℃] |
12月 | 17.0 [℃] | 22.7 [℃] | 12.9 [℃] | 9.8 [℃] |
1月 | 16.9 [℃] | 21.8 [℃] | 13.2 [℃] | 8.6 [℃] |
2月 | 17.5 [℃] | 22.6 [℃] | 13.2 [℃] | 9.4 [℃] |
3月 | 18.8 [℃] | 23.0 [℃] | 14.5 [℃] | 8.5 [℃] |
4月 | 20.6 [℃] | 24.0 [℃] | 16.5 [℃] | 7.5 [℃] |
5月 | 21.5 [℃] | 24.3 [℃] | 17.2 [℃] | 7.1 [℃] |
厳寒期は低気温と日照時間の短さで日中平均温度が上がらず、月平均温度は18[℃]を下回りました。
3月頃から外気温が上がって夜温を下げられず、DIFの数値を上げることが難しくなっていました。
加温機の稼働時間の調整といった細かい改善は必要ですが、概ねハウス内温度は上手く管理できたように感じました。
潅水
初めてのキュウリ栽培ということもあり、潅水に関しては日々悩みを抱えていました。
基本的には積算日射量が1.00 [MJ/m2]に対して1.00 [ton](1株当たり1.05 [ℓ])の潅水量を目安に潅水を行っていました。
※上記はあくまでも目安でキュウリの状態を見ながら潅水量および回数を変えていました。
その結果がこちらになります!
月平均積算日射量 | 月平均潅水量 | 月平均潅水回数 | ||
10 [a]当たり | 1株当たり | |||
11月(11/5~) | 5.99 [MJ/m2] | 1.36 [ton] | 1.43 [ℓ] | 1.6 [回] |
12月 | 5.31 [MJ/m2] | 5.54 [ton] | 5.83 [ℓ] | 3.0 [回] |
1月 | 4.26 [MJ/m2] | 5.63 [ton] | 5.93 [ℓ] | 3.6 [回] |
2月 | 6.68 [MJ/m2] | 6.48 [ton] | 6.82 [ℓ] | 4.4 [回] |
3月 | 7.79 [MJ/m2] | 7.45 [ton] | 7.84 [ℓ] | 5.0 [回] |
4月 | 9.96 [MJ/m2] | 9.29 [ton] | 9.78 [ℓ] | 6.5 [回] |
5月 | 8.72 [MJ/m2] | 7.80 [ton] | 8.28 [ℓ] | 5.5 [回] |
11月は力枝が伸びきっていなかったため潅水量は少なく、12月以降は積算日射量と潅水量が目安に近いものとなっていました。
しかし、当園は自動潅水を導入しておらず、潅水作業時間を削減するために潅水回数は目安を大きく下回った結果となりました。
2月頃から日射量は大きくなってきましたが、日射量増加に合わせて潅水量をうまく調整できなかったのが今作の問題の一つでした。
施肥
施肥についても潅水と同様に頭を抱えており、正解が見えない日々を過ごしていました。
元肥は地域農協の設計(加里過剰型)通りに投入し、追肥はキュウリの状態を見ながら行っていたのが本作です。
施肥の概要はこちらです!
N | P | K | ||
農協指針 収量19 [ton/10a]設計 | 元肥 | 42.6 [kg] | 34.8 [kg] | 12.2 [kg] |
追肥 | 32.2 [kg] | 20.6 [kg] | 21.9 [kg] | |
計 | 74.8 [kg] | 55.4 [kg] | 34.1 [kg] | |
当園 | 元肥 | 52.7 [kg] | 47.0 [kg] | 15.5 [kg] |
追肥 | 29.3 [kg] | 18.6 [kg] | 30.7 [kg] | |
計 | 82.0 [kg] | 65.6 [kg] | 46.2 [kg] |
施肥の合計を見てみると、概ね農協指針通りに施肥がされているのがわかります。
基本的にN・P・Kは不足していませんでしたが、CaやFeなどの不足が観測され、葉面散布で補うこともありました。
一方で、農協指針だと元肥にPが多く施肥されており、土壌がP過剰型になっていくので改善が必要です。
今作のまとめ
今作全体を通して振り返ると、ミスはたくさんありましたが、収量が取れたので良い作だったといえます。
とりあえず、無事に作を終えられてよかった…
また、大きな改善点は下記になります。
- 果実の結露を防ぎつつ加温機の稼働時間を削減する
- 効果的な潅水量と潅水回数で潅水を行うこと
- 元肥設計および微量要素の見直し
どのように改善していくかは今後の記事に記載していきます。
本記事では概要だけの記載でしたが、別記事では月毎や項目ごとに詳しく分析していきます!
収量アップ・経費ダウンを目指して頑張ります