日本政策金融公庫が行っている新規就農者を支援する融資制度が青年等就農資金です。
農業経営を開始するために必要な資金を無利子で借入できるので、新規就農者にとって非常に利用しやすい融資制度です。
また、融資の限度額は3,700万円で返済期間は17年(うち据置期間5年以内)と設定されています。
これだけでなく、個人の場合は保証人も不要となっており、農業を始めるにあたりとても心強い制度であることは間違いないです。
そんなメリットだらけの青年等就農資金ですが、私の実例も併せて融資の条件や利用までの流れを見ていきましょう。
青年等就農資金の概要
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/seinen.html
青年等就農資金の利用条件
対象者は原則的に認定新規就農者のみになります。(特例として「知識・技能を有する65歳未満の者」も対象となります)
認定新規就農者になるためには青年等就農計画が認定される必要があります。
青年等就農計画については別記事で紹介しているのでそちらをご覧ください。
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参考農業次世代人材投資資金 ~経営開始型の必要書類紹介~
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他には農業経営を開始してから5年以内であることが挙げられますが、この条件は基本的に就農後の設備投資等に関わってくる条件です。
無利子で借入できる期間が限られているので設備投資のやりくりも考えながら経営していくと、この制度もうまく活用できると思います。
このように青年等就農資金の対象者は広いので、審査が厳しいのではと思っている方もいると思います。
それでは次章で青年等就農資金を受けるまでの流れを実例と共に見ていきます。
青年等就農資金の利用条件
・認定新規就農者であること(特例あり)
・農業経営を開始して5年以内
新規就農に係る融資制度Q&A(よくあるご質問)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/syunou/syunoufaq.html
青年等就農資金を受けるまでの流れ
青年等就農資金を受けるための必要書類は以下の4点です。
- 借入申込希望書
- 経営改善資金計画書
- 青年等就農計画の写し
- 青年等就農計画の認定書の写し
写し以外の書類についても青年等就農計画を作成する際に管轄JAの融資課から話があり、融資課の方々がスケジュールに合わせて作成してくれます。
そして、下記が利用までの一般的な流れと私の実際のスケジュールです。

青年等就農資金の利用に関するおおよその目安としては、検討会から融資実行まで3ヶ月かかると考えてください。
実際には青年等就計画が認定されてから検討会を開くまでの期間(約1ヶ月)もありますので、自分が融資を実行したい日付から4ヶ月前にはスケジュールを組んだ方が良いです。
また、7月1日の聞取り調査は農業改良普及センターの方々と青年等就農計画や実作業に関して聞かれました。
管轄のJAや農業改良普及センターごとに聞き取り調査の日時ややり方が異なると思いますので管轄の関係機関に問い合わせてみてください。
ちなみに、私は融資実行日を7月1日に設定してスケジュールを組んでいましたが、度重なる検討会の延期により実行日が1ヶ月遅れました。
検討会延期による融資実行日の遅れがないのかをしつこいくらい確認し、融資実行日は遅れませんとの返答を頂いていても、実際には融資実行日が遅れました。
なので、スケジュールは余裕をもって組んだ方が良いです。(私は融資実行日が2ヶ月は遅れることを考慮してスケジュールを組んでいました。)
・青年等就農計画認定~青年等就農資金の実行までは約4ヶ月かかる
・スケジュールは遅れる可能性がある
青年等就農資金の注意点
私は実際に青年等就農資金を受けましたが、いくつか困った点があったので紹介していきます。
見積書
青年等就農資金で購入予定の機器や資材はすべて見積書を用意しなければいけません。
ここで、気を付けるのは機器等の本体価格だけでなく機器等の導入にかかる電気工事等も含めて見積書が必要なので、業者さんにこれらを合わせて見積書を作成してもらいましょう。
また、機器等と電気工事等の見積書を個別に受け取り、融資申請時に見積書を合わせることもできます。
ちなみに、見積書と実際の金額が異なるケースもありますが、基本的には融資課の方に相談すれば問題なく対応してくれます。
私の場合は軽トラックが見積書の金額よりも15,000円安くなりましたが、問題なく対応してくれました。
ただし、実際の金額が見積書の金額と大きく異なってしまうことはないように気を付けながら見積書を作成してもらいましょう。
融資を利用できない機器
これは管轄の関係機関によって大きく異なると思いますが、制度上は問題ない機器も実際には受け付けてもらえない機器があります。
私が申し込んだ際はトラクターが受け付けてもらえませんでした。
私の場合は青年等就農計画作成時に「就農1年目で融資によるトラクターの購入は認められない」と言われたので、トラクターが必要な理由を経済的側面等から説明しましたが認められませんでした。
なので、トラクターは自己資金で購入しました(これも少々問題となりましたが…)。
制度上問題となる根拠が無くても認められないケースが他にもあると思うので、自分の予定通りの機器等が青年等就農資金で賄えるわけではないことを気を付けてください。
自己資金
私が申し込んだ際は特段の決まりはありませんでしたが、今後は融資額に対して2割の自己資金を有していることが要求されることになりそうです。
※2021年9月現在では確定の情報ではありません。
例えば、300万円の融資を申し込むなら少なくても60万円の自己資金を持っていることを証明する必要があります。
少額なら問題にはならなそうですが、大きな額を青年等就農資金で借入しようと考えている方は今後の制度の動きに注意が必要です。
まとめ
新規就農者にとって頼りになる融資制度の青年等就農資金について解説してきました。
重要となる点は下記の通りです。
青年等就農資金の利用条件
・認定新規就農者であること(特例あり)
・農業経営を開始して5年以内
また、注意点として下記を考慮しながら青年等就農計画や融資実行までのスケジュールを組んでいきましょう。
・融資実行までおよそ4ヶ月かかる
・スケジュールは遅れる可能性がある
・機器導入にかかる工事も見積書を取る
・受け付けてもらえない機器等もある
・制度として自己資金が必要となる可能性がある
しっかりと準備をして青年等就農資金を活用すれば、非常に助かる融資制度となっています。
うまく活用して、新規就農時の経営を安定させていきましょう。