就農準備

就農準備~お金編~

今回は就農準備の中でもお金関係について書いていこうかと思います。

実際に就農するまでは農業次世代投資資金経営開始型や青年等就農資金の書類作成、税理士さんに経営相談等いろいろやりました。

そんな私がしてきた就農準備を大きく分けると2つで

・ハウス設備検討
・農業経営検討

新規就農を志す方の参考になればうれしいです。

ハウス設備検討

ハウス設備検討は新規就農者ならだれでもやることになると思います。

賃借もしくは新設ハウスにどんな機器を入れるかを検討するわけですが、私が実際に賃借することになったハウスの設備は下記のとおりです。

  • ビニールハウスAP2号(18.9[a]、10連棟)
  • 自動開閉器
  • ポンプ
  • 動噴
  • 加温機(600坪、送風機に若干の不具合有)
  • 循環扇(10台)
  • 塩ビ管潅水

このハウスでキュウリ栽培を始めようとして、初期投資を抑える場合は何も購入せずにこのまま始めることです。

この選択をする人も多いかと思います。現に私も、初期投資は抑えた方が良いとJAや地域の方々に散々言われました。

しかし、私は下記の設備投資を選びました。

  • 加温機(500坪、2台)
  • 加温機制御装置
  • 環境測定装置(ハウス環境のデータ測定)
  • 炭酸ガス発生装置
  • 炭酸ガスコントローラー
  • 点滴チューブ潅水

工事費用等込みで計およそ650万円です。

この設備投資を選んだ根拠としては3つです。

1. 農業次世代投資資金経営開始型の補助金が満額690万円もらえる
2. 栽培分析と改善のためにはハウス環境に関するデータが必須
3. 栽培環境を大きく変えたくない

3が分かりづらいかもしれませんので、例を挙げると炭酸ガス発生装置です。

炭酸ガス発生装置はキュウリ栽培においても収量アップの効果が報告されていますが、導入前後では温度や潅水管理等がだいぶ変わってきます。

実際に炭酸ガス発生装置を導入した農家さんの話を聞くと、導入後は導入前のキュウリの生育と違うことが多くて苦労したという話を伺いました。

つまり、炭酸ガス発生装置の導入前後で栽培環境は大きく変わるので、以前のデータが使えなくなる恐れがあるということです。

長期的に見たら経験の幅が増えるので良しと思いますが、一方で短期的に見たら経験値がリセットされます。

私はこれからのキュウリ農家は平均収量増加や単価の停滞の観点から経営が今よりも厳しくなると考えています。

なので、自身の経営が安定するまでの時間的なゆとりはほとんど残されていないと判断し、初期投資を大きくして栽培環境を先に整えることにしました。

この辺りの考えはいくつもあるので、どれが正解とかはないと思います。

おそらくですが、結果が出ればその選択が正解となるはずです。

ちなみに、この設備投資で結果が出るかは実際にキュウリ栽培が進んでから経営分析の記事でご覧ください。

経営分析

農業経営検討

前章に通じるものがありますが、こちらは経費や税金がメインです。

農業を志してから様々な方に話を伺う機会が多いですが、多くの方が「稼げる農業をしてほしい」と言っていました。

よくよく話を伺うと、これは「収量および秀品率を高めて売り上げを増やし、所得を増やしてほしい」ことを意味していました。

至極当然で私もこの意見に全面的に賛成です。

一方で、所得を増やす方法は支出を減らすことも挙げられます。

しかし、新規就農者ともなれば初めての栽培で戸惑いも多いはずなので、経費や税金のことまで気が回らなくなるのが普通かと思います。

例えば、65万円の青色申告特別控除を適用するにはe-taxでの申請が必要ですが、栽培期間中にいきなりe-taxでの申請なんて言われたら今年は止めておこうとなるはずです。

65万円の青色申告特別控除の適用について

https://www.keisan.nta.go.jp/oshirase/r2info/info001.html

青色申告をJAの青色申告会にお願いしようとしている方は65万円控除となります。
詳しくは管轄JAの青色申告会にお問い合わせください。

こういった細かい損を無くしていくことで結果的に所得を増やせると考えて、経費や税金のことを勉強しました。

なかでも、特に意識したのは開業費です。

私の場合は開業ぎりぎりまで地域おこし協力隊として働くことになるので、どういったものが開業費として計上できるのかを税理士さんに相談していました。

計上できる開業費の詳細を特定したうえで、1年目に出るであろう売り上げと照らし合わせました。

その結果から、開業費に含める範囲を決定して1年目を赤字にする方が良いかどうかを検討しました。

こういった細かい検討をいくつも行っていますが、私はお金を稼ぐためには小さいことからコツコツだと考えています。

細かいお金事情は新規就農者に対するセミナーや研修では扱っていないことがほとんどなので、忘れずに勉強すると農業経営も少しは楽になるかもです。

設備投資を考える人は減価償却も重要なので、しっかり勉強すると損せずに投資ができると思います。

ちなみに、農業次世代投資資金を活用しようとしている方は面接時に収支計画のことを聞かれるので、お金関係の勉強は面接対策にもなります。

まとめ

就農までにお金のことを考えることが重要です。

新規就農するので栽培に関することを一番に勉強していくのは当然ですが、同じくらいお金のことも勉強しないと苦労する可能性が高くなります。

私はお金が好きではないので勉強する気もありませんでしたが、生きていくためには必要な知識だと感じたので嫌々しました。

農業を始めるにはお金がかかり、続けていくにもお金がかかります。

農業を始める前からお金の管理をしっかりしていきましょう。

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